マーケティングの世界では正解がないため、仮説を立て検証していく必要があります。
商品やサービスに関心を持ってもらい購入してもらうにはどうすればよいかと考える時は、顧客の購買行動を分析し把握しましょう。
消費者が商品やサービスを知って購入に至るまでの間には、段階的プロセスが存在しています。
この段階的プロセスを把握することで、適切な施策を行うことが可能になります。
今回は、消費者の購買行動を説明する理論を紹介していきます。
AIDMA(アイドマ)とは、消費者が商品やサービスを購入するまでの消費者行動の基本的なモデルの1つ。
「顧客が商品やサービスをどのように発見し、どのような気持ちや行動をへて購入に至るのか?の一連の流れ」ということです。
1920年代にアメリカのサミュエル・ローランド・ホールが提唱し、現代でも顧客の購買プロセスを分析するために現在でもよく使われています。
■AIDMA
- A(Attention)注目・認知
「おや?なんだろう」と存在を知る - I(Interest)興味
「興味や関心が出てくる」 - D(Desire)欲求
「知りたくなって調べたり、欲しいと思うようになる」 - M(Memory)記憶
「商品を覚えている状態」 - A(Action)行動
「欲しいと思い購買行動を起こす」
上記であげた、英単語の頭文字を一つずつとって「AIDMA」と名称されました。
この5つの段階が順番に起こることで、商品やサービスの購入に至るという考え方です。
■AIDMAの具体例
1.A(Attention)注目・認知
「テレビのCMで新発売の美白化粧品を見た」
2.I(Interest)興味
「特許取得済みで独自開発の美白成分が配合されているらしい」
3.D(Desire)欲求
「化粧品カウンターで無料サンプルをもらった。気になるから少し使ってみよう」
4.M(Memory)記憶
「無料サンプルでの使い心地は良かった。値段が少しだけ高いけど、初回限定の割引クーポンをもらった。迷うなぁ…」
5.A(Action)行動
「ずっと悩んでても仕方ないし…思い切って買ってみよう!」
さらにこのAIDMAは、3段階に分けることができます。
・認知段階 A(Attention)注目・認知
・感情段階 I(Interest)興味、D(Desire)欲求、M(Memory)記憶
・行動段階 A(Action)行動
各段階にある消費者の状態は以下の通りです。
認知段階:A(Attention)注目・認知は、消費者がテレビCMや新聞広告などで商品やサービスを知る段階。
感情段階:I(Interest)興味、D(Desire)欲求、M(Memory)記憶は、好きか嫌いか?使ってみたいと思うか?という感情を判断する段階。
行動段階:A(Action)行動は、実際に購入する段階。
段階によって消費者が抱いている気持ちに違いがあるため、各段階に合わせてアプローチを変える必要があります。
しかし、AIDMAはあくまでも仮説であって、全ての購買行動がAIDMAに当てはまるわけではありません。
購買プロセスは、消費者がおかれている状況によって違い、さまざまなパターンが存在しています。
現在でも新商品のプロモーションを考える時などに使われるAIDMAですが、今から約100年前に提唱された理論です。
AIDMAは一昔前のようなマス広告しかなかった時代には合っていましたが、インターネットが登場したことで消費者の購買行動は変化しました。
現在は、インターネットが主流の現代に合わせた新しい購買行動モデルが誕生しています。
インターネット普及時代に新しく提唱された「AISAS(アイサス)」。
日本最大手の広告代理店である電通が提唱し、2005年6月に商標登録した新しい購買行動モデルです。
AIDMAをネットが普及した現代版にリメイクした理論といわれています。
A(Attention)注目・認知
I(Interest)興味
S(Search)検索
A(Action)行動
S(Share)共有
AIDMAと違うところは、消費者行動のプロセスの中にS(Search)検索やS(Share)共有といった、ネットで検索し情報をシェアするというプロセスが入っているところです。
S(Search)検索…情報検索サービスなどでの検索行為、商品の比較、口コミや評価をみて検討など。
S(Share)共有…Facebook・twitter・instagramなどで情報を共有する。
「失敗したくない」「この商品のみんなの評価はどうなんだろう」と気になり、商品を買う前にはまずはネットで口コミ検索!という方も増えたのではないでしょうか?
ネットでの口コミやSNSでのシェアなど、商品やサービスについて情報発信したり検索したりと、消費者側が能動的に行動できるようになりました。
ネットでの検索が当たり前になり、eコマースの需要が急増している現代ではwebでのプロモーションも欠かせないものになってきているため、AISASが有効であると言えます。
「AISARE」という理論もある!
世の中の成功しているビジネスやブランドには、必ずと言っていいほど一定の固定客(ファン)がいるものです。
消費者がブランドを認知してから固定客になるまでの心理的プロセスを表したのが、2008年に『グーグル・マーケティング』で紹介された「AISARE(アイサレ)」という理論です。
■AISARE
A(Attention)注目・認知
I(Interest)興味
S(Search)検索
A(Action)行動
R(Repeat)繰り返し購入
E(Evangelist)他社に広める
固定客であるファンは、一番最後のE(Evangelist/エヴァンジェリスト)に該当します。
ただし、このエヴァンジェリストはただのファンではなく、商品やサービスのメリットやデメリットなど全てをひっくるめて他者に紹介して広めてくれる伝導者であり、ビジネスやブランドを一緒に盛り上げてくれる人たちのことをさします。
エヴァンジェリストになる心理プロセスは検索までAISASと同じですが、検索のあとの行動は以下の流れになります。
A(Action)行動:「気になったから買ってみた」
↓
R(Repeat)繰り返し購入:「次もこのブランドのものを買おう」
↓
E(Evangelist)他社に広める:「このブランドと商品が大好き!他の人にもこの良さを広めたい!」
有名どころで言えば「Apple信者」という言葉が生まれた企業のApple社は、このエヴァンジェリストの獲得に成功した例となります。
エヴァンジェリストは、ブランドや商品のメリットとデメリットも含めて客観的な視点から嘘偽りなく語ってくれるため、他の消費者から見た時に信頼できる肯定的な口コミになります。
ネットが主流となった現代においてビジネスを育成するには、このエヴァンジェリストの育成も大切であることがわかります。